突入 そして

 探査機を発信させ、クレーターの中心部に向かう。
 ビークルの横の平地に着陸させ、二人とも探査機を降りた。

「アキラ、予想していた通りです。 恒星の動きを御覧なさい」
 見上げると、雲の合間に見える恒星の動きが、肉眼で分かる程度に早く動いている。
「このポイントで、時間の伸びは約4倍です。 ビークルの風化具合も、凡そ4~5年程度の様ですので、仮説が当たっていた様です」
「分かった、グズグズしていられないな。 君は、直ぐに探査機に戻り、離れた所で待機していて呉れ」
「アキラ・・・貴方のお気持ちは良く分かっている積りです。 お気をつけて」
 ロームは、探査機に戻りクレーター周辺部に移動していった。

「良し、急がなくては」
 アキラは、ほぼ立坑の様になっている洞窟へと侵入した。 目標は、約50m先だ。
 焦る気持ちを押さえ、慎重に歩を進める。 ここで、転落などで怪我をしては、元も子もない。
 何度目かの曲がり角を抜けると、期待した通り、奥に僅かな明かりが見える。
 アキラは駆け出した。 洞窟を抜けると、大きな空洞が現れ、驚愕の光景が目に飛び込んできた。

「な、なんだ・・・これは」
 アキラの目の前には、明らかに人工物と思われるドーム、いや宇宙船と思われる巨大な黒色の物体が横たわっていた。 周辺の岩石は溶けた後で凝固した様な様相を呈し、物体の先端は地盤にめり込んでいる様に見える。

「誰だ、君は」
 左前方の暗がりから、声を掛ける者が居た。
 アキラが視線を向けると、そこに父の姿が有った。 子供の頃の記憶と、寸分違わぬ父の姿だった。
「救助の方か! 助かったよ、通信が届いたんだな。 食料が乏しくなって、正直、どうしようか考えていたところだよ。 ああ、申し遅れたが、私はノブオだ」

 アキラは、一瞬、呆然としていたが、我に返った。
「父さん! 父さん! 俺だ! 俺だよ! アキラだよ」
「君は・・・君は何を言っているんだ。 確かに、私の息子の名はアキラだが」
「父さん! そのアキラだ。 僕だよ」 アキラは我に返り、タイマーを確認する。 既に5分を経過していた。

「僕は、父さんの息子のアキラだ! 信じられないだろうが、僕は32歳になっている。 僕を信じて欲しい。 今すぐ、この洞窟から脱出しよう」
「君は、何を言っているんだ。 君も見ただろう、この巨大な物体を。 恐らくは遥か以前に、この惑星に衝突したものだが、明らかに宇宙船の様だ。 途轍もない発見だよ! 銀河連盟の常識を覆す発見だ!」
「分かるよ、父さん。 だが、今は議論や説明している暇がない。 直ぐにここを離れるんだ。 そうだ、母さんは! 母さんは何処に!」
「妻ならば、そこで休んでいるよ。 足を怪我してしまってね」
 父の指さす方向に、簡易ベッドで横たわる母親を確認した。
「母さん!」

「母さん!」 アキラは夢中で駆け寄った。
「あ、あなたは?」
「アキラだよ。 母さんの息子の・・・アキラだよ」
 ユリカは、アキラの頬に手を伸ばし、確認するかの様にアキラの瞳を覗き込んだ。
 暫し、アキラの瞳と顔を見詰め・・・
「アキラ・・・貴方を信用します。 貴方は、アキラね」
「母さん!」

 アキラは、母親を抱きかかえ、改めて父親に声を掛けた。
「父さん! さあ、出るよ」
「何を言っているんだ! そもそも、一体どんな理由でここを出ないといけないんだ!」
「貴方・・・アキラですよ。 この人の指示に従いましょう」
 アキラがタイマーを確認すると、7分30秒を示している。
「父さん! 兎に角、急いでくれ」
「ああ、分かった! しかし、妻を救助船に届けたら、またここの調査に戻る」
「分かったよ! 兎に角、早く出よう」

 洞窟を急いで戻る。 帰りは登りだ、母を抱えては厳しかったが、アキラは必死に出口を目指し、クレーターの出口に到着した。

「なんだ! これは」 ノブオもユリカも、驚愕の表情を示した。
 空を見上げると、一面に火山灰の噴煙が立ち込めていた。 時折、雷鳴も轟いている。
「この惑星で、大規模な地殻変動が起きているんだ。 この辺りも、もっと酷いことになる筈だ!」
「何! それならば、調査を急がないと」 父が洞窟に戻ろうとするところを、アキラが手を伸ばして止めた。
「父さん! 諦めて呉れ・・・無念なのは分かるが、命を捨ててまでやる事じゃない! それに・・・それに、僕は二度も父さんを失いたくない」

 ノブオは、アキラの目を見据え、そして頷いた。
「分かった! だが、この気象では転送装置も使えないぞ」
 確かに想像以上のあり様だった。 アキラは、ロームに自己判断で避難する様に指示したのを思い出し、唇を噛みしめた。

 その時、上空で轟音が鳴り響いた。

 3人の目の前に探査機が降り立った。 船内からロームの声が響く。
「アキラ! 皆さん、急いで乗って下さい」
 探査機後方のハッチが開き、3人は転がり込む様に乗り込んだ。
 アキラは、船室のベッドに母親を降ろすと、コントロールルームに駆け出した。
「ローム! 操縦を変わろう」
「お願いします。 ご両親を・・・救助しましたね」 ロームはウインクをしながら、右手の親指を立てた。
「ああ、ありがとう。 君のアドバイスのお陰だよ。 ここからは・・・俺の腕の見せ所だ」

 噴煙吹きすさび、火山弾が飛び交う中、アキラの絶妙な操縦で何とか成層圏迄脱出した。

 探査船内へと探査機を収納させ、何とか無事に探査船内に戻る事が出来た。
「正に・・・九死に一生・・・だったな」 アキラはロームにウインクを返した。
「ちょっと何を言っているのか分かりませんが・・・それもTERAの諺ですか?」 ロームは無表情にアキラを見返した。

惑星軌道上 探査船内にて

 ユリカの怪我は、足首の捻挫程度であり、ロームが適切に手当てした。
 車椅子に乗った母を中心に、アキラとローム、そしてノブオが探査船の窓越しに惑星の状況を見つめていた。
「すごいな!」 ノブオは、惑星が噴煙に囲まれ、時折覗く地表面に溶岩が網目の様に見える姿を眺め、驚嘆の声を上げた。

 ノブオは、改めてアキラの顔を見詰め、確認する様に声を掛けた。
「本当に・・・アキラ・・・なのか? いずれにせよ、助けて呉れて本当にありがとう。 君の指示に従わなければ、今頃は・・・」
「父さん、俺はアキラだよ。 今は、銀河歴20,909年。 今の僕は32歳だ。 父さんの認識から20年が経過したんだよ」
「信じられん」
「貴方・・・間違いなくアキラですよ。 この人の瞳を見せて貰いました。 間違いなくアキラです」 母はアキラの手を握り、手の甲に優しくキスをした。
「母さん」 アキラは跪き、ユリカの膝に顔を埋めて泣き始めた。 「会いたかった・・・もう一度会いたかったんだ。 会えてよかった」
 ロームも、二人を優しい眼差しで見つめていた。

 4人は、コントロールルーム後方の打合せテーブルに集合し、事の顛末を確認しあっていた。
 ロームの気遣いで、食事とワインが用意され、寛ぎながら会話していた。
「ワインまで有るとは嬉しいよ。 食事も、これ程まともな食事は久し振りだ」
「ワインは、アキラの私物です。 探査船内での飲酒は、明確な規約違反ですが、船内の記録装置は全て停止させています。 気兼ねなく、お飲み下さい」
「ありがとう。 ああ、そう言えば、まだ正式な挨拶が出来ていなかったね。 私はノブオ、アキラの父です。 彼女はユリカ、私の妻で、アキラの母親です」
「存じ上げています。 お2人は、惑星探査部のレジェンドですので。 私はローム、TONA人です」 ちょっと躊躇しながら続けた。 「まだ・・・幼体です」
「TONA人か! こんなに近しく接するのは、私も初めてだよ。 しかし・・・妻と似ているね。 雰囲気と言うか・・・」
「ええ、アキラにも言われましたし、ボスのワダにも同じ様に言われました。 光栄です」
「ワダ!? ワダがボスなのか? ああ、そうか、20年経っているんだったな」 ノブオは大きな声を上げて笑い出した。 ユリカもクスクスと笑っている。

「ところで、アキラ、どう言う事だったのか教えて呉れ」
「ああ、2週間程前、いや今からだと1か月程前、父さん達の発信したモールス信号を航行中の複数の輸送船が受信した。 情報を知ったボスは、父さん達の遭難事故との関連性を予見し、俺に調査を任せて呉れたんだ」
「そうか、SOSが届いたって事だな」
「ああ、まあね。 実は、ロームとは今回初めて組んだんだが、ロームの分析のお陰で、あの惑星を特定出来たんだ」

「実は、通信の内容は、当初まったく意味不明でした。 凡そ1,000倍にも間延びした通信だとは思わなかったのです。 アキラの機転で、1,000分の1に早回しした音声情報として再生し、モールス信号によるSOSと判明したのです」
 ロームは、説明を続けた。
「しかし、不思議なのは、通信は重力波通信では有りませんでした。 これでは、仮にSOSが受信されたとしても、数年後か数十年後か、もしかしたら数万年後だったかも知れません。 実際、我々が受信したのは20年後です。 何故・・・ですか?」

「ああ、君の指摘は分かっていたよ。 だが、それしか出来なかった・・・と言うのが答えだ。 一縷の望みに掛けたのさ。 いや、正直に言うと、妻とは遭難を覚悟したんだ」
 ノブオはユリカを見詰め、当時の状況を思い返すように話を続けた。
「まったく不運としか言いようが無いが、探査船が隕石との衝突で破壊されたんだ」
「シールドが機能しなかったのか?」 アキラが驚いた様に聞き返した。
「いや、私達二人が探査モービルと共に、地上に転送された直後だったんだ。 知っての通り、転送時にはシールドを外さざるを得ない。 シールドを張り直す一瞬に、不運にも船が損傷を受けた」
「転送後に、探査船の破壊は直ぐに分かったわ。 あの時の絶望感は今でも忘れられない。 アキラの事を思って、取り乱してしまったわ」 ユリカは、遠い記憶をたどる様に呟いた。
「私が考えたのは、何とかして、救助を求める信号を発信する事だった。 残念ながら、この探査モービルには恒星間通信が出来るような重力波通信装置は積んでいなかった。 限られた機材で、如何に救助を求めるか・・・まあ、ほぼ絶望的だったが、唯でくたばる気にはなれなかった」
「ええ」 ユリカも頷いた。
「軌道上の探査船から惑星を簡易探査をした際、あのクレーターの存在は知っていたので、まずはクレーターを目指したのだ」
「どう言う事なんだ?」

「アキラ、お父様の大胆な作戦は、私がご説明しましょう。 アキラをクレーター中心の洞窟入り口に降ろした後、私には数日の時間が有りました。 可能な限り詳細なデータを取りつつ、調査局への簡易報告を行っていました。 クレーター表面の3Dデータの詳細を見ていた時に気付いたのです。 クレーターの表面に、点在する発信装置を」
「さすがローム。 良く気付いたね。 モービルに搭載されていた発信機は数に限りがあった。 この限られた数で、最大にして最適な配置を・・・ユリカに算出して貰った」
「どう言う事なんだ? まったく話が見えないよ」
「アキラ、これをご覧ください」 ロームがクレーターの3D画像を映し出した。
「この光点が発信機です」点在する発信機が見える。

「こ、これは」アキラが目を見開いた。
「そうです・・・直径40㎞にもなる巨大なパラボラアンテナの完成です。 謎の通信が、この惑星の自転周期と一致する形で、電波強度を周期的に変化させていた理由とも一致します」
「驚いたな・・・」 アキラが呟いた。

「だが、ロームの指摘通り、このアイデアには致命的な問題がある。 我々が生きている内には、恐らく通信は伝わらないだろう。 しかし、それでも、実行する事に意義が有ると2人で決めたんだ」
「結局、その効果が有ったんだから・・・諦めたら、そこで全ては終わるってやつだな」
「ああ、そうだな。 話を続けよう。 発信機を適切に配置し、クレーターの中心にモービルを利用した電源と増幅器を設置し、正に信号を発信しようとした時だった。 因みに、モールス信号を使ったのは・・・少ない情報で、救援を求めたかったからだ。 何せ、惑星の自転と公転で、一方向に通信をし続けるのは不可能だった。 少ない情報で救助信号にする事に特化しなければならないと考えたんだ」
「しかし・・・実際の通信は、クレーター地表面から発信されなかった。 何故だったんだ?」
「そうだな、話を続けよう。 正に発信を開始しようとした時、ユリカが待機していた場所の地盤が崩落した。 つまり、突然、ユリカが地下に落ちてしまった」
「本当にびっくりしたわ。 落下した時に足を痛めてしまい、自分で戻る事が出来なかった。 お父さんは、直ぐに来てくれたわ・・・驚くほど早く」
「そうだな。 私は、直ぐに君の救助に向かったよ。 まあ、もしもの事を考えて、発信装置やサバイバルキットを準備するのに時間は使ったが・・・恐らく、妻の体感では、私が直ぐに降りてきたと思った様だった」

「それこそが、あの物体の影響だったのです」 ロームが口を挟んだ。
「そうだったのだな。 しかし、我々はまだ、その事には気付いていなかった。 私は、直ぐにユリカの救助に崩落した洞窟の中に向かった。 まあ、ユリカは直ぐに見つかったよ、だが怪我の様子を見ると、さすがに直ぐに地上に戻るのは無理が有ると感じた。 まあ、洞窟が奥にまだ続いている事が分かったので、奥に進んでみようと思ったのも有るがな」

 ノブオは「ふーっ」 と息を継ぎ、話を続けた。
「ユリカを待たせ、洞窟の奥へと進むと、あの開けた空間に出た。 正面に、あのドーム状の黒い物体を目視した時には・・・肝が潰れたよ」
「ノブオは、中々戻って来て呉れなかったわ。 どうなったのかと・・・気が気じゃ無かったわ」
「済まなかった。 体感的には、広場にサバイバルキットを置き、照明を準備して、ものの数分で戻った積りだった。 今にして思えば、かなり待たせてしまった事になるな」

「父さんも母さんも、その時点でも、時間の遅れには気付かなかったのか?」
「ええ、ただ、正確には・・・ノブオの指示で、簡易ベッドで休みながら、発信機からSOSを打っていた時、余りにもバッテリーの消耗が早いので変だとは思っていたわ。 想定では、数か月はバッテリーが持つと考えていたのに」
「あの場所での数分が、地上での数日に相当する。 数か月も、せいぜい数時間しか持たなかったって事だな」
「そうね。 それに、私よりも物体に近付いて調査を続けていたノブオと、私の体感時間のズレにも違和感を抱いていたわ。 私には、食事も摂らずに一日中、しかもゆっくりと作業をしているノブオが見えていたから」
「それにしても、惜しい事をした。 恐らく、あの物体は銀河系外文明の人工物だ。 惑星と衝突したにも拘らず、外面の損傷が殆ど見られなかった。 ああ、そうだ外面に文字の様なものが彫刻されていたが・・・私も初めて見る文字だった。 結局、測定データは殆どが失われてしまったがな・・・」

「父さん、命が有っただけでも良しとしないとな! えっと、ちょっと待ってよ。 殆どが失われたって? 何か手元に残っているのか?」
「そりゃあ、アキラ。 私だってプロの調査員だからな」 そう言うと、ノブオは耳に付けていたイヤホン状の装置を外した。
「私が見聞きした情報は、全てこのカメラとレコーダーが記録している。 この中に、あの物体の目視情報が記録されている」
「流石・・・父さん。 伊達に調査局のレジェンドと言われていた訳じゃないな。 局に戻ったら映像を分析してみよう。 父さん! まだまだ、銀河連盟の知らない事がある。 俺は、この調査局の仕事に命を懸けるよ」
「アキラ!」 ロームが不機嫌そうにアキラの名を呼んだ。
「ああ、ローム。 例え話だよ、比喩だ、命を懸けるくらい一生懸命やるって意味だ」
「発言は、正確にお願いします。 TERA人は例え話が多すぎます」
 ノブオとユリカは二人の掛け合いを目の当たりにし、お互い見つめ合い、本当に楽しそうに笑っていた。

エピローグ

「今回の調査では、大きな謎が残ったな」
 銀河連盟 中央府ステーションの窓から、行きかう幾つもの船を見ながらアキラは呟いた。
 横で手を後ろに組んだまま立っていたロームが応えた。
「そうですね、あの物体、恐らくは宇宙船の正体・・・あの惑星の再調査は、地殻変動が落ち着かなければ出来ません。 数百年は掛かるかも知れませんので、我々での再調査は無理かも知れませんね」
「ああ、それは仕方ないよ。 しかし、あの物体・・・未知の物体の存在を知った以上、ますます調査局の仕事に力が入るよ」

「そうですね・・・アキラ。 今回得られた情報で、一つの仮説を思いつきました。 聞いて呉れますか?」
「ああ、当然・・・いいとも」
「7千万年程前に、あの未知の物体が惑星に衝突した。 銀河連盟の各文明が、説明が付かない程にほぼ同時期に進化している事と無関係では無いのでは? と思うのです」
「確かにな。 何らかの影響、引き金になった可能性は有るな・・・いや、確かに、TERAが銀河連盟中心部より数万年遅れて進化したのは、あの物体からの単なる物理的な距離が理由かも知れない」
「そうですね。 まったく非論理的とは言えませんね。 それと、大きなエネルギーの5千年周期説ですが・・・もし、あの物体が発生源とすれば、数年或いはもっと短周期で発生しているものが、通常空間では大きく間延びして観測されているだけなのかも知れません」
「誰が? 何のために?」
「それは分かりませんが・・・とても遠くへの通信目的かも・・・ロマンを感じますね」
 アキラはロームの言葉に驚き、思わずロームを見詰め直した。

数日後。

「ところで、アキラ。 ご両親は、どうなされたんですか?」
「ああ、このステーションでボスに挨拶を済ませた後、今は、TERAの実家でゆっくりしていると思う。 親父達の荷物を残しておいて良かったよ。 爺さんや婆さん達に無事を知らせて、少し休養を取ったら、また仕事に戻りたいと言っていた」
「それは良かったですね。 ご両親は、伝説的な調査員でした・・・最早、伝説では無く、実在の・・・ですが」
「ああ、俺も負けない様に頑張るよ」

 アキラは、ロームの方に向き直り、瞳を覗き込む様に言った。
「ローム、今回の調査では・・・本当にありがとう。 君無しには、両親の救出は出来なかった。 俺は、それなりに自分が優秀だと思い込んでいた。 だが、君と組んだ事で、改めて自分の至らないところが良く分かったよ。 それで・・・」
「それで?」
「それで、お願いが有る。 これからも相棒として、調査のコンビを組ませて欲しい。 今回の一件で、まだまだ調査すべき事が有る事、それに未知な物の存在も知ってしまったしな」
 ロームは、暫しアキラの瞳を除き込みながら、考え込んでいる様だった。

「ど、どうだろうか・・・ローム」
 ロームが微笑んだ。 アキラは一瞬、大きな胸の高鳴りを覚えた。
「アキラ、喜んでお供します。 私にも、TERA人の血が半分流れています。 未知の存在を放っておく事など出来ません。 私こそ、ご一緒させて下さい」
 ロームが右手を差し出した。
 アキラも右手を差し出し、強く握手を交わすのだった。

終わり

アキラとローム。 2人の冒険は、まだまだ続きます。 乞うご期待!

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