地球が銀河連盟に加盟した時期
西暦2098年、人類初の隣接恒星系探査隊のメンバーが、地球外知的生命体(銀河連盟構成文明)とのファーストコンタクトを果たした。 それから10年後、西暦2108年に地球は正式に銀河連盟のメンバーとなった。
「TERA」の由来
銀河連盟加盟時に自惑星名を登録するが、4文字での表記を推奨され、TERRAからRを1文字削ったと言う経緯がある。
銀河歴と地球歴の関係
銀河歴元年は地球歴BC18,725年であり、銀河連盟発祥の文明である惑星TONAの暦が採用されている。 尚、奇跡的に銀河連盟の標準時間(年月日・時間)は、地球と一致している。
銀河連盟発足の経緯
銀河歴15,856年に、銀河連盟の創始文明であるTONA人と隣接恒星系のWAKO人がファーストコンタクトを果たした事から、銀河連盟が始まった。
隣接する恒星系で、ほぼ同時期に双方で知的生命体が進化していたのは極めてレアケースだ。 尚、銀河歴にTONAの暦が使われる事になった理由は、単にTONAの文明の方が僅かに進歩していた事による。
銀河連盟について
銀河連盟が発足して凡そ5千年が経過し、現在の加盟文明は50を超えている。
意外に少ないと思われるかも知れないが、加盟レベルに達していない文明の存在する惑星は多数存在する。
銀河系内(直径約10万光年)は一応の調査を終えていたが、まだまだ不明な事も多い。
何故か銀河系の特定のエリアに於いて文明の発生が多数見られ、皆一様に同時多発的に進化を遂げている。(連盟加盟文明は、ほぼそのエリアに集中している)
惑星TONAも含まれる、そのエリア以外では知的生命発生確率が減少していた。 しかし、その確たる理由・原因については不明のまま。 連盟に於いては、地球文明の存在は稀有のケースと見られていた。
銀河連盟でも解明されていない謎
連盟で最大の謎とされているのは“何故、僅か数千~数万年程度の誤差の範囲で、同時多発的に各惑星で文明が発達したか?”と言う事である。
ビッグバン以来138億年と言うスパンで見れば、数千年など瞬きの如く一瞬に過ぎない。
他銀河について
銀河連盟では未だ他銀河とのコンタクトには成功していない。
過去数回、隣接銀河とのコンタクトを目指した無人・有人の調査船が派遣されたが、何らかの情報入手、或いは帰還を果たした調査船は無かった。
未知の危険が存在する外洋調査は、積極的には行っていなかった。 専ら、銀河連盟評議会が外洋調査に消極的だったのが理由と思われる。
重力波(ワープ)航法について
銀河連盟における宇宙航行技術では、重力波航法によって移動の距離に関係無く瞬時に移動が可能である。 しかし、例えば星系内の移動の場合は、小惑星や隕石等の障害物との衝突を避ける為、重力波航法と通常航行を頻繁に切り替えざるを得ない。 恒星間は一気にワープ可能だが・・・結局は約1週間程度の旅行となる。 宇宙航行では重力波を利用した空間湾曲法が用いられている。 つまり、微惑星や宇宙の塵などで混雑した星域の場合は、静々と移動せざるを得ないと言う事なのだ。
TERAについて
地球(連盟名:TERA)は、銀河連盟への加盟時点ではほぼ未開人レベルであったが、今では連盟の中心種族になっていた。 どうやら、地球人の技術・知識の習得能力は、連盟加盟種族の中でも飛び抜けて高かった様だ。
銀河連盟への参加要件は、自力で他の加盟文明に能動的にコンタクトする事が出来れば、和平に同意する限り加盟権が付与される。 加盟を強制する事は無いが、非加盟の高度文明は、連盟の認識可能な範囲内では存在しない。
地球の様な銀河の辺境地域には、余り高度文明を有する惑星が存在していない。 因みに、地球に最も近い連盟加盟惑星FUGOでも12,000光年離れている。 即ち、本来なら、地球人は12,000光年を旅する科学技術を得なければ、銀河連盟に加盟する事にはならない筈だった。
尚、これまでに認識された知的文明の中でTERA人が最も野蛮で好戦的と認識されていた。 因みに、TERA加盟以前は、惑星PIGOがその地位に甘んじていた様だ。 その意味でもTERA人はレアな存在だった。(“肉食を好む”と言うのも、野蛮人扱いされている原因の一つだった)
地球人の銀河連盟に対するファーストコンタクトについて
銀河連盟加盟前の地球人類は、地球外生命とのコンタクトを渇望する余り、無謀にも地球歴2080年に太陽系外探査計画が実行され、太陽の隣接恒星(地球との距約約4.3光年)に対する決死の有人探査が実行された。 土星の衛星タイタンの軌道上に設置された中継ステーションを出発した探査ロケットは、乗員男女8名(内、2名は航行中に船内にて病死)を乗せ、18年後の2098年に目的の恒星の第2惑星に到達した。 太陽系出発時に青年であった乗組員は、皆が壮年の域に達していた。 因みに、乗組員は2名ずつがパートナーであったが、倫理上の理由で全員が避妊手術を受けていた。
仮にミッションが成功し、地球に戻って来られたとしても、皆が老人に達してしまう。 後に、銀河連盟で“狂気のミッション”と揶揄された試みだった。
地球人類の悲願であった、太陽系外惑星に初めての一歩を印した船長のタロウ・ワトソンは、驚愕の光景を目撃する事になった。 液体の水が存在する事が予測され、原始的な地球外生命もしくは、その痕跡でも得られれば歴史上の大発見と思われたミッションで、まったく想定外の光景に出会ったのだ。 ああ、因みにその惑星には、結局のところ生命は存在しなかった。
偶々その惑星に居合わせた、銀河連盟第102高校の修学旅行生(42名)と引率の教師2名とが、船外活動スーツを着用して野球に似たゲームに興じている現場に遭遇してしまったのだ。
修学旅行生を乗せた観光船はステルスモードになっていた為、地球側の探査技術では検知されていなかった。 一方で、連盟側の船のコントロールシステムは、地球側の調査船と着陸ポッドの存在を探知していたが、有ろう事か船長が居眠りをしていた為、修学旅行生にアラームを発する事が出来なかったと言う顛末だった。
修学旅行生達は、極めて古典的な宇宙服に身を包んだ地球人の突然の来訪に恐れおののき、一方でタロウは、予想もしていなかった光景を目撃した事で、己の精神状態が崩壊したとの恐怖に見舞われたそうだ。
経緯はどう有れ、地球人は連盟関係者とのファーストコンタクトを果たしてしまった。
銀河連盟憲章第2条の規定に則り、連盟加盟権を得た。(因みに第1条は、平和宣言である)
途轍もない成果を得た太陽系外惑星探査チームは、修学旅行生を乗せた観光船に曳航され、僅か5日後に地球へと帰還した。 タロウ・ワトソンの太陽系外惑星での初めての一歩を伝える通信は、その4年以上後に地球で受信された。 ファーストコンタクト後の地球での騒動は割愛するが・・・その僅か10年後に、地球は正式に連盟に加盟する事になった。
その他のトリビア
歴史的に見れば、TONAの有史以来、約1万6千年もの期間を経て、他星系の知的生命とのファーストコンタクトを経験した事と比較し、地球が文明発祥から僅か数千年で銀河連盟加盟文明とのファーストコンタクトを果たしたのは、極めてラッキーだったと言わざるを得ない。
地球が惑星TERAとして連盟加盟後に分かった事だが、地球は極めて辺境に位置し、連盟側も「まさか、こんな辺境に知的生物が存在するとは想像もしていなかった」と言う事らしい。
連盟高校では「辺境惑星お泊り学習」の一環で辺境地区の観光ツアーを行っていた。 つまりは、地球近辺は“人も住まない未開のど田舎”と思われていたのだ。
地球人は連盟加盟後に急速に銀河全体に拡散し、地球人の特質である知的好奇心・探求心・知能の高さ・順応力・野心のお陰で一気に連盟の中心メンバーとなっていった。
因みに、連盟加盟種族(各惑星人)は千差万別だが、収斂進化の妙と言うべきか、多少の差異は有るものの、炭素系生物で哺乳類(稀に爬虫類系もいるがレアケース)、直立二足歩行を行うヒューマノイドタイプだった。
必然的にと言うべきか、生物学的に可能なケースでは混血も決してレアでは無い。
また、加盟すれば、連盟の科学技術・知識は自由に利用出来る様になる為、各加盟惑星(文明)間での科学技術のレベル差は無くなっている。(生物体としての知的レベルとしての優劣は有るが)
尚、未開人レベル文明に対する能動的な接触は厳しく規制されており、詳細なルールは割愛するが、違反した者は例外なく罰せられる。 これは都市伝説だが、過去の地球へのエイリアン来訪は、無法者の悪事だったと思われる。
地球では連盟への加盟と同時に、地球連邦が発足し国境は無くなった。 また、全ての軍事設備・武器が廃棄された。(まあ、地球の武器は、連盟の科学力に対しては無力だったから、当然と言えば当然の処置だった)
この物語は、こんな背景の中で、銀河連盟 中央府 調査局 惑星探査部に所属する調査員達の活動を記したお話しだ。